狼のように、神のように

 ルプス、あるいは大陸狼カニス・ルプスという通り名で呼ばれていた。
 俺が大陸狼の特徴である灰色の毛皮を持った狼をいつも連れていたからだろう。それとてらいもなく首から下げていた狼のアミュレットのせいかもしれない。この二つだけあったらあとは片目の眼帯と俺自身の体が身分証明みたいなもので、そりゃ狼なんて名前もつくよなあと今では納得している。
 ごく少数の見識ある人間は、俺を見てすぐに俺の出自に気づく。今は滅びた人馬国の人間だと。──射手王子と昔の通り名で呼ぶものは極めて高い位の人間にしかいなかった。もう二度とそんな名で呼ばれることもないだろう。今の俺は元王子でただの傭兵だし、遠大な目的を果たした暁には王子から一足飛びで王にならなければならない。

 人馬国の首長は死んだ。隣国の獅子国に攻め込まれ、集落を焼き払われ、国民らの前に后もろとも首だけの姿を晒されて。何日も禿鷲どもに朽ちた肉をついばまれ、骨になるまで全部族の集落を引き回された。人馬国民の愛国心と希望を完膚なきまでに打ち砕くために。愛する狼たちに食われた首から下のほうがまだいっそ救われただろう。
 俺の父さんと母さん。
 死者の尊厳を穢した獅子国のやり口に民は怒り狂い、今こうして、各国に散り散りになりながら俺を次の王位継承者に擁して反乱への土台を固め続けている。



 うだるように暑かった。漂泊を繰り返して何番目かにたどり着いた国は海上や河上の交通が発達しており、その見返りにどこにいてもむせるような水っ気を旅人に感じさせた。はっきり言って俺も狼もこの手の蒸し暑さには弱かった! 寒い山岳国の出だから仕方ない。同じ暑さでも天蝎国の砂漠の暑さは乾いていて、まだ馴染みやすかったのを思い出した。
 いつの間にかボートの幌布の下でくたばっていたらしくて、ボートが水に浮き沈みする重い感触と狼の唸り声で目が覚めた。
「良い子だ。ご主人様を守ろうとしてるんだね。……頼むから僕に身を預けてくれないか。君のご主人様が心配なんだ。熱射病かもしれない」
 優しげな少年の声が響く。いいやつかなあ、という思考と、盗人の類かなあ、という思考が同時に浮かんだ。多分直感的に前者なんだろうとは思う。昔なら気ままに前者で相手に全てを預けられたけれど、今の俺はもうそんな善人じゃなかった。
 身動きしながらごく自然な動きでククリナイフの柄に手をかけ身を起こす。目の前に閃光が走って意識がくらくらした。参った。本当に日射病かな。声の主が「大丈夫ですか」と声を大きくしたのでうなずくだけはうなずいた。
「すいません。何だかひどいところで寝ていらしたもので。お水持ってきましょうか」
「大丈夫。水なら……」
 ある、と言いかけて腰袋の中の銀水筒を取り出した。空だった。そういえば狼に全部飲ましたんだ。うっかりしていた。こんなに蒸し暑いのに水が熱から人を守らないなんて理不尽な国だと勝手に思った。
 俺に声をかけた青年は半ばお節介な動きですぐに近くの民家に走ると大きな水入れに水をため、ボートまで戻ってきて俺と狼に水を分け与えてくれた。一瞬少女と間違えそうな長髪が風に翻って跳ねる。なんていい国民なんだろう。ひと心地ついて俺がまじまじと相手の顔を見る。言葉遣いが大人びているように見えたが、実際には俺より二つか三つほど年下であろう青年がそこに座っていた。狼ももう彼に気を許している。水と主君の恩は捨てがたかったということか。
「近くの家の方に連絡をお願いしました。お節介かもしれませんが、もしよかったら船が参りますから川通りの僕の家までいらっしゃいませんか。少し涼んで休まれたほうがいいと思うんです。この大きいワンちゃんも一緒に」
「そいつは狼だよ」
「え」
「いや、犬の仲間だからいいんだけどさ。なつくと可愛いだろ」
 俺は貰った水を遠慮なくガブ飲みしながら苦笑した。他国の人間に深く関わるなと人には言われるが、やらかしてしまうのはやはり捨てがたい気性なのだと思う。



 それにしても、それから半刻後(一時間後)の展開は俺の想像を軽く飛び越えていた。
 俺は川べりに立つ妙に品のいい邸宅に通されて狼もろとも口を半開きにしていた。湿気対策のためか四階まで部屋がある。と言うより、川べりのどの家よりも高い建物かもしれない。待ち構えていた従者たちが青年に向かって「蟹殿下、お帰りなさいませ」と礼をするのを見て俺は豆鉄砲を食らった面になってしまった。
「殿下ぁ!? あ、あんたもしかして王族?」
「はい。蟹と申します」
「はぁ……それはお初にお目にかかりますというか何というか、謁見の儀とかすっとばしていいの? まあ俺の国もそんなんなかったけどさ」
「国民とも同じ恵みを分かち合う仲ですから。あんまり壁みたいなものは作りたくないんです」
 彼の一族の国、巨蟹国は女系支配者の国だ。目の前にいるこの王子も年齢と長髪のせいで角度を変えれば姫に見えそうな勢いだが、実質的な王位継承権を持つ姫君はおそらくもっと警護の堅い場所に暮らしているのだろう。 
 本名を明かせない立場上と名乗った俺に、蟹はきれいに皮を剥いた柑橘類を差し出してもてなしの態度を見せてくれた。水しか飲んでなかった喉に果汁が死ぬほど爽やかだった。
「ありがとう!」
「いいえ。それだけ嬉しそうに食べていただけると、僕も嬉しいです」
 ニコニコしながら蟹は歳に似合わない世間的な話題を俺に振ってきた。俺より三つほど年下なら普通は従軍するとか家業がどうだとかもう少し小さい世界で血気立ってそうなものだ。蟹の態度はそんなところをかなり前に超越してしまっているように見える。小さいなりをして、王族は若いときから必死に国を背負おうと振る舞う。
「傭兵をなさっているということですが……」
「うん」
「またどこかで争いごとが起きているのですか? もしそうなら、僕はどうにかして止めたいのですが」
「いいや、傭兵ったっていつも戦うわけじゃない。お使いもすれば用心棒も子守もする何でも屋みたいなもんだよ。この国には観光で来たんだ。正直この国の蒸し暑さは狼の国の住人には予想外だったけどね」
「そうですか。そういうことならよかった」
 ほっと胸を撫で下ろして微笑み、窓から街を見下ろす。蟹の目は水路沿いに遠く海まで流れていった。ここからなら街の人々の喜怒哀楽の様子まで、つぶさに見えるのだろう。
 遠くの海上には薄墨の滲んだような雷雲が沸き立ち始めているように見えた。風向き次第ではこちらへ上陸してくるかもしれない。
「人馬国が攻め滅ぼされてから、辺境諸国にも影響が出ているようなのです。巨蟹国は島国ですから他の国と違って海に守られていますが……。あの国は軍船の他に、海を越える兵器を手に入れようとしていると聞きました。狼さんはなにかそういったことは耳に入っていますか」
「いや、何も」
 蟹のまっすぐな目を受け流しながら、俺はあざとく外交的な答えを返した。獅子国が隣国への軍事侵攻をもくろんで、その前に大陸の超巨大兵器を手中に収めようと暗躍しているのは事実だ。だが俺も一応王族の末端だ。事実を知っていてもすぐに善人の顔にはなれない。ものを知らなかった十歳の子どもだったならともかく。
「あんた、若いのに大変だね。国のことばかり気にかけて」
「いいえ、僕のことは……。この国で男系の王族として生まれて、本懐を果たせる分には全く構わないんです。海で鍛えられた臣下たちがよく支えてくれます。
 本当はどこに病院を建てたらいいかとか、内政に心を砕いていたかったのですが。戦争が始まったらいくら病院を増やしても意味がなくなってしまう。今はここで世界が平和に落ち着いてくれることを祈るばかりです」

 俺は蟹の言葉には答えずにそらした目を伏せた。
 三つほどしか歳が違わないが、憎しみを知らない世代とはこういう人間たちのことなのかもしれない。祖国を失ったことのない者たち。安らかでない人間の死体に未来永劫巡り合わぬ者たち。暗い記憶があるかないかの違いだけだ。それなのに、なんて清潔な気持ちのいい態度をとるんだろう。
「摂政や大臣たちは、戦の準備もしっかりしてそうかい」
「ええ。自衛できるだけの武力はあります。それに何より、海と民の心が守ってくれる。この二つはここにいる限り無くなりませんから」
「そうか。あんたは生まれた国がよかったか、単に運がよかったんだね。ここの海は確かにうんと分厚そうだ。あんたも王族の割に心が曲がっていない。やさしいままだ」
 きれいだよ。
 そう言ってやろうとしてやめた。言い方を間違えたら毒でしかない。気をつけているのに時々ねじれかけた根性に気づいて嫌になる。俺だって彼ぐらいの歳の時には似たようなものだった。大地の果てに飛び出していくことばかり考えてた。今と比べたら随分きれいで、傷つきやすくてのんきだった。
 当時よく遊びに行っていたあの国の、獅子の面が雷雲と恵まれた地平との間によぎる。あれは俺よりも遥かに毒を呑んだ強い面だった。そのたくましさに一時期は憧れさえした。向こうのほうがかなり年上だったけど、それでも敬意を表してくれた。俺は奴と対等な盟友として付き合えることが誇らしかった。
「獅子国の王族がどうやって育てられるか、知ってるか。特に直系の男子が」
 それまで憂いと純粋な決意に染まっていた蟹の顔が驚愕に歪んでこちらを向いた。顔に出やすいやつ。すぐに笑みを取り戻して「どんな噂がたっているんですか」と切り返す。
「うん。まずはな、十歳になる前に母親から引き離されて帝王学を含めたあらゆる学問を仕込まれる。世話係のなかに女もいることはいるが、王子の身辺を出入りできる期間中に孕んだことがばれるとそれが誰の子であれことごとく地方へ飛ばされたそうだ。そして大抵運の悪い事故で子どももろとも命を落とす。
 誇り高い人物を育てる伝統の育児法ってのがあるんだと。とても半端じゃもたないらしいぜ。それで何人か王子が育つだろ。そうすると、齢十六で国内のどっかの地方の統治を任される。どの地方を任されるかである程度王宮からどう見られているかが判断できるんだそうだ。……大昔はそこから他国への侵略が始まって、より手柄を立てた王子に王位継承権が移ることがよくあったらしい。戦争によって貧しい国を豊かにできる王子が支持された。世界に小さな国が二十以上あった頃の、歴史の先生なら誰でも知ってるような話だ」
 傭兵にあるまじき無駄知識をぺらぺら喋る俺に、蟹が眉をひそめながら感心した表情を見せた。へんな笑みがこぼれてしまう。一昔前は俺の国と蟹の国もちょくちょく戦争をしていたっていうのに。
「僕より詳しいんですね」
「年の功をなめるなよ。俺だってそれなりの勉強はさせられたんだから」
「そうですね。──それにしても、不幸な歴史です。僕はこの国に生まれてよかった」
「うん。まあどの国でもそれなりに苦労はあるだろうさ」
 ここまでならどこの王族でも、あるいはちょっと勉強意欲のある民ならだれでも知っている話。貧しかった獅子国は領土拡大とそれに伴う複数の文化の融合によって一躍豊かな国となった、はずだった。
「……獅子国と周りの国との間にしばらく幸福な膠着状態がつづいた。戦争を終えた国民が国内でものを売り買いし、農業も工業もうんと進歩して、それを隣国との貿易力にもあてるようになって長い間景気が良かったんだ。あの国は戦時中にやたら一騎打ちを推奨してたけど、そのせいで腐敗した貴族がいいように減ったのも大きかった。さすがに叩き上げの国王は賢かったんだね。
 でも、自分の身の丈以上に多くを欲しがる富には必ず限界がある。
 まず貿易用の農作物が余りはじめた。それぞれの国が平和のおかげで農業を復旧できたからだ。水運が発展したおかげで貿易ルートが複数できて、獅子国より海運経由で他国の作物が売れるようになったのも大きかった。同じ理屈で工業品も売れなくなりはじめる。このへんは双子、天秤、乙女が強い。海産は言わすもがなだ……水の国がいくつもあるだろ?
 それまで売れていたものが売れなくなって、だぶついて、長い不況があのでかい国にまとわりつくようになった。それをしのぐためにあの国はどんどん国民から武器を買い上げたよ。国策と称してさ、伝統的な公共事業で金をまわし続けたんだ。そしていよいよ軍隊ばかりでかくなって取り返しがつかなくなった」

 今でも哀しく脳裏に蘇る。
 盟友の時折見せた終わりない強欲の顔。対等な会話ができる親友もろくにいやしなかった。生まれた時からの階級という孤独を補うために、奴がどれだけ栄華の光を必要としたか。時々それをむなしく感じながら、最後には国を挙げての狂気にみずから呑み込まれていった。
「戦争をしなきゃならなくなったんだよ。武器を買うという大義名分のために。
 一度は国内で軍縮の流れもあったんだよ。でも今度武器の売買をやめたら武器屋がつぶれて、武器屋にまつわるもろもろの商売がつぶれて、今までとは比べ物にならない貧しさが国を襲うってことを金持ちたちは知っていた。
 戦争をすれば自分たちの飢えが満たされるってことを、あの強国の人間たちは憶えているんだ」
 今でもなぜ戦争になってしまったのか解らない。俺の国と獅子の国は、決してそこまで緊張感の高まった関係ではなかった。そして国を失ったあとに気づいた。あの国は搾取するために俺の祖国を奪い、国名を書き換えたのだと。
「人馬国はおかげで滅んじまったよ。だけどそれだけじゃ終わらない。人馬国の土地や資源っていうのは、あの狂った国の奴らを食わせるには痩せすぎてる。
 このままじゃもっと酷いことが起こる。奴らはどんな手段を使ってでも大義名分をでっちあげてさらに侵略を続けるだろう。また他の国の名前を書き換え、そこに元からいた人々の命も、誇りも、根こそぎ喰らい尽くして」
 そんなことになる前にあの国を止めなければいけないんだ!
 そう訴えようとしたとき、俺の肩に、戦いを知らないやわらかな王子の手がそっと置かれた。どうしてそんなにも優しい手に俺の言葉を制する力があったのか。人の重みとぬくもりと深慮が、いちどに伝わってくる手だった。
 三つも年下のやわな青年にそんな風にされたことが、俺の言葉をうしなわせた。
「喰らいつくされて、あなたは母国を失ったのですか」
「ああ。でも、人はまだ生きている」
「ひどい顔をしている」
 ああ。そうだろうな。家族友人を、生活を、全てを奪われた国民たちがいた。俺はいつだって彼らの呪いと希望を一身に引き受けなきゃならなかった。いつもは暗い顔さえしていられない王統の末裔の気持ちがあんたにわかるかい。
「気のせいだよ。お日様の光に当てられたんだ」
 俺は笑っていた。年上の痩せ我慢ってやつだ。全てを晒すには目の前の青年はまだ若く、歳のわりに過ぎた荷物を背負いこもうとしているように見えた。



 初心を思い出す。獅子が国民たちに望まれたのと同じように、俺にも光が必要だった。
 生き延びた民は俺にこう問いかける。かけがえのない家族を殺されました、愛する恋人を奪われました、大切な友人たちが死にました、帰る家がなくなりました。祖国と未来を失いました。あの狼とアルパカたちを、厳しくも輝ける神々の大地を失いました。そこまで失って、さすらって、なぜ私たちは生きなければならないのですか。
 俺は首のない家族たちの死体を前にしていつまでも泣き崩れているわけにはいかなかった。失ったものを贖うだけの光が必要だった。今すぐにでも、神様のように立ち上がらなければならなかった。自分自身の中に、同じようにある絶望の問いに答えるためにも。
 復讐の炎は抱いていてもいい。でも本当は全く違う火が必要だった。厳しい冬にも消えない希望の火、そして血塗られた地平を突き抜け、蒼天へと駆けのぼる光の矢が。この世ではそれを神ではなく人間の手で成し遂げなければならないのだ。そしてそれこそが人馬国王統の後継者である俺にとって、真に望まれていることなんだろう。

 俺の肩に手を置いたままもどかしそうに言葉を探している蟹王子に向かって、俺は肩の力を抜きながら手を外させた。そうして人前で枯れた涙が取り戻せるかとこころみた。今はまだ人前で泣けずに、痛々しい笑顔しか出せない気がする。つかの間肩に顔をもたせかけて目を隠すとようやく目頭が熱くなって、苦痛の毒が抜けていく。
「ひどい顔をしてるって言ったね」
「はい。大丈夫ですか?」
「うん。俺はね、いつか自由になりたい。いつか全てから自由になりたいんだ。こんなしがらみからも、酷い憎しみからも。
 どす黒くなっちゃった奴らの顔を見るたびに何もかも捨てて逃げ出したいって何度も思ったけど、そうやって逃げたんじゃ自分の中の憎しみはなくならないし、結局自由になれないんだって思うようになった」
「……」
「俺は傭兵だからね。多分また人を殺すよ。たくさん……だけどあんたのように憎しみを知らない世代が次の世界を担ってくれるなら、俺はこの世の中が平和になるまで、どんなことでもやってやる。たった数十年でもいいから、幸せになってほしいんだ」
「狼さん」
 通り名を呼ばれたことで俺の胸に痛みが走った。いまはまだ本当の名を明かせない。でも、きっといつか本当の名で俺を呼んで欲しい。
 日が暮れる。俺は一瞬だけ湧いた痛みを涙と一緒に拭うと、できる限りの丁寧な礼をとって蟹王子の別邸を後にした。いたわってくれた人の前では笑顔が自然に出た。だから蟹王子にとって俺の後味は、そんなには悪くなかったはずだ。



 街を歩く俺の側に灰色の狼が後からつきしたがう。市場を抜けていく異国の傭兵を、特に目を凝らして追い続けるものはこの辺りにはいない。
 泳がせている部下が情報を掴み次第ここも旅立たなければならない。俺は亡き先代から託された古代兵器の手がかりを探している。おそらく俺の国が真っ先に攻め滅ぼされ、俺が国を失ってなお追われる身になった原因。
 今はまだ獅子国から遠いこの国に、戦乱が訪れる前に。

(神様。俺は祖国を取り戻すまでに、あとどれだけ人を殺さなければならないのですか。
 俺はもしかすると祖国復興のために獅子よりも多くの人間を殺めてしまうでしょうか。そうなった時、俺は獅子のようにならないでいられますか……魔にとらわれず、人々の光でいる資格を、持ち続けていられますか)

 自分の道のりがあとどれだけ長く続くかなんて、そんなことは考えなかった。なるようになるんだから。
 全てが終わった時に憎しみから自由でいたい。今はただそれだけを願う。


 - fin -

作品データ

初出:2008/12/3
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同人誌『偽典・12国王子(1)』収録
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